歯周病は自覚症状が出にくく、気付いたときには歯槽骨が溶けて歯がグラグラになっています。想像しただけで、なんだか恐ろしいですよね。
さらに近年は、歯周病が女性に深く関わっており、ほかの病気を併発するリスクがあることが指摘されています。
妊婦さんは特に注意!
歯周病の直接的な原因は「歯垢に含まれる細菌感染」で、中でも歯肉の下や歯周ポケットに潜む歯垢が問題です。
歯周ポケットに歯垢が蓄積された状態が続くと、歯周病菌がほかの臓器へと移行して全身に悪影響を及ぼします(菌性感染症)。
過剰に産生された細菌が放出した毒素や、生体の炎症因子が妊婦さんの体内に侵入すると、胎盤早期剥離で早産になる恐れがあります。また母子感染を起こし、若年性歯周病になる可能性もゼロとは言い切れないでしょう。
女性の方が歯周病リスクが高いのはどうして?
女性の方が罹患しやすいのは、女性ホルモンと密接な関わりがあるためです。
女性が歯周病に罹患しやすいのは、次の3つのタイミングだと言われています。
①初潮を迎える頃
エストロゲンとプロゲステロンという、2種類の女性ホルモンが多量に分泌される時期です。歯肉の血液循環が促進され、歯肉は刺激に敏感になって炎症を起こしやすくなります。ホルモン性歯肉炎の場合は、悪化して歯周病になるでしょう。
②妊娠中
プロゲステロンの分泌が増加し、歯肉が敏感になります。何らかの刺激があると、歯周病になりやすいため注意が必要です。
③閉経後(更年期)
ホルモンや身体の変化が起こりやすく、精神的な負担が大きい時期だと言われています。骨粗しょう症が進みやすい時期でもあり、歯を支えている組織が急激に破壊されることも一つの要因です。
喫煙習慣はありませんか?
日頃の喫煙習慣も、歯周病リスクを高めるということをご存知でしょうか?
タバコの「ヤニ」が歯の表面に付着すると、歯垢が沈着しやすくなって歯周組織の免疫構造に変化を起こします。
ウイルス感染の抵抗力や白血球の機能を低下させる恐れもあるので、できる限り喫煙は控えましょう。受動喫煙もNGです。
まずは生活習慣の見直しと改善から!
次のいずれかに1つでも該当する場合、生活習慣の改善が必要です。
①甘いものが好きで頻繁に間食をする
②飲料水を1日2本以上飲んでいる
③食事の際にあまり咀嚼しない
④朝食後ではなく前に磨いている
⑤就寝前の歯磨きを忘れることがある
⑥ブラッシングの時間が3分以下である
⑦歯磨き粉をいつもたっぷりとつけている
⑧歯間ブラシやデンタルフロスなどの口腔ケアアイテムを併用したことがない
⑨歯科医院で歯石クリーニングを受けたことが一度もない
⑩喫煙習慣がある
⑪夜ふかしが多く、睡眠不足になりがちである
⑫ストレスを発散する機会がなく、溜まる一方である
⑬家族に糖尿病や歯周病の罹患者がいる
該当する項目はありましたか?
心当たりがある場合は、生活習慣を見直すことから始めましょう。後回しにせず、早めに対処することが重要です。
普段からできる予防法
日頃からできる予防法を紹介します。
1.口腔ケアの徹底
2.口腔ケアアイテムの併用(デンタルフロスや歯間ブラシなど)
3.3~4ヶ月に1回程度の歯科健診(歯石は、日々のブラッシングで取り除けないため。口腔トラブルの早期発見や治療にもつながります)
まとめ
今回は、女性と口腔トラブルの深い関係についてお話ししました。
予防するために、歯や歯茎の状態を毎日鏡でチェックしましょう。歯ブラシ以外の口腔ケアアイテムを併用したり、間食や喫煙を控えたりするのも重要なポイントです。数ヶ月ごとに、歯科医院で定期健診を受けることもお忘れなく。
特に女性は、それぞれのライフステージで口腔内の変化が起こりがちです。それを理解した上で真摯に向き合い、適切な口腔ケアに励んでください。
健康で美しい口元をキープしましょう。