花粉症や風邪などに罹患したとき、同時に歯が痛んだ経験はありませんか?
1本だけでなく複数の歯が痛い場合は、副鼻腔炎が関係しているかもしれません。
そこで今回は、副鼻腔炎が口腔周りに及ぼす影響について詳しく解説します。
原因がハッキリとしない歯痛に悩んだ経験がある方や慢性的な副鼻腔炎にお困りの方は、ぜひご一読ください。悩みを解消するヒントが、何か見つかるかもしれませんよ。
1.副鼻腔炎と歯痛の関係
そもそも副鼻腔炎とは、どのような疾患なのでしょうか?
副鼻腔とは、目や額、頬骨のうしろなどにある4つの空洞のことです。主に鼻から取り込んだ空気を湿らせて、温かい状態で体内へ送るという働きをしています。また内部の粘膜や細い繊毛が、取り込んだ空気に含まれるウイルスやバクテリアを除去する役割も果たしています。
そのような副鼻腔が、炎症を起こした状態こそが「副鼻腔炎」です。粘膜が腫れるので鼻呼吸がしにくくなり、同時に頭や歯が痛くなります。場合によっては、顔面痛が生じることもあるでしょう。
ここで、歯痛に関する4つの症状を説明します。
1-1.上顎の奥歯が痛む
この部分に症状が出るのは、根の部分が副鼻腔に極めて近いためです。中には入り込んでいるケースもあり、根の先から歯髄へ炎症が伝達して痛みが出ます。
1-2.複数歯が痛む
むし歯のときはどこか1本の歯だけが痛むのに対し、副鼻腔炎が理由の場合は複数歯へ同時に症状が出ます。この理由として考えられるのは、副鼻腔に、根の接している歯が複数あることです。数本の奥歯がまとめて痛くなることが多い
1-3.左右どちらかのみが痛い
副鼻腔炎の症状は原則として左右両方に生じますが、歯は一方のみが痛くなりがちです。急性化した方だけに出やすいですが、まれに両方痛むこともあります。
1-4.痛みやすい歯とそうでない歯がある
神経のある健康な歯ほど症状が出やすく、過去に抜髄が行なわれた歯は痛みにくい傾向にあります。
「抜髄済みの歯が、ふと食いしばったときや食事の際に痛かった」という声も時々耳にしますが、このケースは鼻腔炎と無関係である可能性が高いでしょう。
副鼻腔炎由来の痛みは健康な歯にだけ生じますが、それ以外の歯痛は基本的に抜髄後でも起こりうるためです。
2.歯痛の根本的な原因を突き止めよう!
痛む理由が突き止められないときは、次の2点をチェックしてみてください。
2-1.冷たいものや熱いものが染みるか
副鼻腔炎の場合、歯の神経が強く押されて症状が出ます。冷たいものや熱いものを口にして染みたり痛んだりする場合は、むし歯や知覚過敏の可能性が高いでしょう。
2-2.どの歯が痛むのかを特定できるか
痛い歯が自分自身で特定できる場合、むし歯である可能性が極めて高いです。副鼻腔炎由来の場合は、複数歯に症状が出るので特定しにくい傾向にあります。
3.自力で和らげる方法
歯痛が生じたら、とにかく早めに歯科医院を受診するのがベストです。しかし仕事や育児の都合で、すぐに足を運べないこともありますよね。
そのようなときに実践してほしいのが、次の4点です。1つずつ順に試していけば、きっと緩和されるでしょう。
3-1.十分な水分補給と睡眠時間の確保
副鼻腔炎の原因は多々挙げられますが、その一つに風邪があります。積極的に水分補給をし、できるだけ長めに睡眠を取りましょう。お風呂にゆっくりと浸かって体を温めたり、バランスのよい献立を考えたりすることも大切なポイントです。寝ている間に免疫がウイルスと闘い、知らず知らずのうちに回復するでしょう。鼻呼吸も徐々にしやすくなるはずです。
3-2.香辛料を摂取する
スパイス入りの料理や激辛料理を積極的に食べて、副鼻腔の粘膜や舌の知覚神経を刺激しましょう。辛いものを食べると、自然に鼻水が出てくるのはこれが理由です。
辛いものが食べられない場合は、ハッカやペパーミントの飴で代用してもOKです。鼻の内部を、スッキリとさせることがポイントです。
3-3.鼻うがいにトライする
片方の鼻の穴に液体状の薬剤を入れ、口から吐き出すのが鼻うがいです。内部に潜むウイルスが排出され、副鼻腔炎の症状緩和が期待できます。
ドラッグストアなどで市販の鼻うがい液を購入し、ぜひチャレンジしてみてください。薬剤は低刺激で、専用の容器も付属されているので初心者におすすめです。
慣れるまではコツが必要ですが、慣れれば簡単にできますよ。
もし水道水を用いて行なう場合は、正しい手順での殺菌などが必要になるので注意してください。方法を誤ると、感染症などを引き起こす可能性があり危険です。
3-4.顔面を冷やす
炎症によって膨らんだ粘膜が、神経を強く押すというのが歯痛のメカニズムです。
氷水をビニール袋に入れて、顔面に当ててみましょう。冷却されることで神経が鈍化し、一時的に緩和されます。効果がないと感じた場合は、市販の鎮痛薬などを使用してください。
4.歯の状態が、副鼻腔炎発症のトリガーになることもある?
これまでお話ししたのは「副鼻腔炎⇒歯痛」ですが、その逆が起こることはあるのでしょうか?
答えはズバリ「YES」です。
つまり「歯が悪い状態のときに、副鼻腔炎を発症する可能性がある」ということですね。
このケースでは、根本的な部分にアプローチしなければ症状が改善しません。考えられる理由は、むし歯や歯周病、歯根破折や歯根嚢胞など多岐にわたります。重症の場合は歯や鼻に留まらず、ほかの部位にも異常が出るのですぐに気付けるはずです。
少しでも心当たりがあるときは、かかりつけ医にすぐ相談しましょう。
少しでも異変を感じたら医療機関を受診しましょう!
部位に関係なく、体のどこかに異変を感じたときは早めに医療機関で診てもらってください。副鼻腔炎のみの場合は耳鼻科、歯痛も併発しているときは歯科医院を受診するのが理想です。
受診先に困ったら、かかりつけ医に電話をして相談してみるのもよいかもしれませんね。重篤化して深刻な事態となる前に、適切な治療を受けましょう。
ひおき歯科でも、歯痛でお困りの患者さまの診察を随時行なっています。「痛みを最小限におさえた治療」を実現すべく、歯科治療の際に使用する麻酔などを工夫しています。
個室の診療室やキッズスペースを完備していますので、安心してご来院ください。
患者さまのお口の中を拝見し、ほかの疾患についても聴取をした上で適切な治療をご提案いたします。