みなさんは日頃の口腔ケアで、歯ブラシ以外のアイテムを使うことがありますか?
比較的簡単に使えるアイテムに「デンタルフロス(糸ようじ)」があり、歯ブラシとの併用で口腔トラブルの予防効果が期待できます。
しかし効果や使い方がピンと来ず、うまく活用できていない方が多いのが現実です。せっかく使用していても、誤った方法では十分に汚れを落としきれません。
本記事では、正しい使用方法や得られるメリットなどを詳しく解説します。清潔な口腔状態を保ちたい人は、ぜひ読んで参考にしてください。
歯ブラシだけでは手入れが不十分?
歯と歯の間や歯周ポケットに、歯ブラシの毛先を届かせるのは困難です。パッと見ではキレイでも、よく見ると汚れが溜まっているケースは珍しくありません。
複数のアイテムを使うと手入れに時間がかかりますが、清潔な状態をキープするためには、アイテムを併用して確実に汚れを落とすことが大切です。
アイテムの種類は?
アイテムの特徴や形状は、メーカーごとに異なります。ご自身に合った、使いやすい製品を見つけましょう。デンタルフロスは、ドラッグストアやネットで手軽に購入できますよ。
【ホルダー式】
持ち手があり、糸状の繊維が付いた先端がYの字やFの字になっているものが一般的です。使い捨てなので衛生的である一方、コストがかかるのが難点です。
とりあえず使ってみたい方は、お試しとして100円ショップで購入してみるのもよいでしょう。
【ロール式】
歯科医院で販売・使用されることが多いタイプで、糸状の繊維が束になり、芯へ巻き付けられた状態で販売されています。ミシン糸をイメージしてもらえれば、わかりやすいのではないでしょうか?
好みの長さにカットし、指に巻いて使うタイプです。
糸には専用のワックスが塗布されているため、歯間へ入れるのが比較的簡単です。こちらも使い捨てではありますが、内容量を考慮するとホルダー式よりはお得に使えるでしょう。
使用の手順
正しい使い方を、タイプ別にそれぞれ紹介します。
ホルダー式
1.フロスの持ち手を利き手で持ち、繊維をゆっくりと歯間に挿し込む。
2.挿入した糸を前後へ動かしつつ、ノコギリで木を切るイメージで歯茎付近までゆっくりと下ろす。
3.必要に応じて角度を変えながら、歯の両側面に繊維が当たるよう動かす。
4.糸を引き上げて完了。
手順1~4を、すべての歯間に行いましょう。少しもったいないですが、1箇所ごとに新しいフロスを使うのが理想です。再利用していると、糸に付着した汚れがほかの歯間へ残る可能性があるため気を付けてください。
ロール式
1.糸を40cm程度に伸ばしてカットする。
2.切った糸を左右の中指に巻いて、約10~15cmの長さにしたらピッと張る。
3.人差し指を添えた状態で、糸をゆっくりと歯間に入れる。
4.前後へ小刻みに動かしながら、歯茎のあたりまで下ろす。
5.歯の両側面の歯間を、糸でこすりながら抜いて完了。
手順1~5を、すべての歯間に行いましょう。
毎回糸をカットする必要はなく、歯間ごとに糸を指で手繰って新しい部分を使えばOKです。
使うメリット
歯ブラシのみの場合は約60%の汚れしか落とせませんが、フロスを併用することで約80%にまで引き上げられます。継続して使用すれば、口腔トラブルの予防になるでしょう。
ほかにも、次のようなメリットが得られます。
1.初期むし歯を見つけやすくなる
フロスがよく切れたり引っかかったりする場合、その部分に初期むし歯が隠れているかもしれません。歯の表面が蝕まれていると凸凹が生じ、前後にスライドしにくくなります。
目に見えないところで進行している可能性があるため、早めに歯科医院を受診しましょう。プロの目で、むし歯の有無や口腔状態を確認してもらうことが重要です。
2.歯周病予防につながる
ケアの途中で歯茎付近が出血を起こした場合に疑われるのが、歯周病の罹患です。歯周病は、症状が出る頃にはかなり進行しているといわれる恐ろしい病気です。
しかし毎日の口腔ケアを徹底していれば、炎症や出血が少しずつなくなる可能性があります。大切な歯を1本でも失うことがないよう、フロスを使う習慣を身につけて口腔トラブルを予防しましょう。
3.口臭の改善と予防につながる
不十分なケアで食物残渣が口の中に溜まると、口臭を引き起こす可能性があります。自覚がないだけで実は症状が出ていることもあるので、徹底した手入れで清潔な口腔状態を保ちましょう。
さっそく始めましょう!
フロスを使いこなすまでには、少々時間がかかります。毎日使用するとなると、コストがかかることも忘れてはなりません。
正しい方法で使用し、むし歯や歯周病、口臭などの予防に努めることが大切です。ドラッグストアやネットで、自分に合いそうな製品を探してみてはいかがでしょうか?
選び方がわからないときは、かかりつけ医に相談するのがおすすめです。使い方も教えてもらえて一石二鳥ですよ!
無理のない範囲で使用し、口の中をキレイな状態でキープしましょう。