妊娠中① むし歯・歯周病ゼロのお口を目指して
妊娠中はお口のトラブルが起こりやすい
妊娠中は、女性ホルモンの作用で、唾液がネバネバしてお口の中を洗い流す働きが低下し、口腔細菌が増殖・変化してむし歯や歯肉炎になりやすくなります。
つわりのために歯磨きができないなど、お口の中の環境を悪化させる要因も増え、リスクが高まります。
親知らずの抜歯は妊娠前に
妊娠前に歯科を受診した際、親知らずの状態を見てもらいましょう。
診察やX線写真でむし歯にかかっていたり、歯肉の炎症を起こす可能性が高い場合は、事前に治療すること(抜歯など)をおすすめします。
歯周病は、早産・低体重児出産のリスクにも
歯周病が怖いのは、歯周病が重症化するとお腹の赤ちゃんにも影響することです。早産や低体重児出産(体重2500グラム未満で生まれること)のリスクが高くなります。適切なケアによって、歯周病を予防・改善しましょう。
妊娠中のお口のケア
妊娠中は体調不良などで、日常生活での制約が多くなり、お口のケアが不十分になりがちです。この先何十年も使う歯です。大事にしましょう。
妊娠初期(0~15週)
つわりのためにハブラシを口に入れられないときは、無理せず、洗口剤などですすぎましょう。気分がよいときはヘッドが小さめのハブラシを使い、できる範囲でみがきましょう。
安定期(16~27週)
つわりがおさまり、安定期に入ったら(マタニティ歯科検診)を受けましょう。歯肉の腫れや取穴、むし歯による歯痛などの異常がある場合は、この時期に受診します。歯科で使う麻酔は使用量がわずかなので、胎児に影響はありません。
妊娠後期(28~39週)
正しい歯みがきをしっかり行います。強い痛みなどの緊急性がない場合の歯科治療は、産後に行うことも考えましょう。
妊娠期② 赤ちゃんの歯は妊娠中から育っています
妊娠初期には歯の芽ができ始めている
赤ちゃんの歯は、お母さんのお腹の中にいるときに発育が始まっています。実は、乳歯だけでなく、永久歯の芽もでき始めているのです。
お腹の赤ちゃんのお口の中~歯の芽の発生過程~
1,妊娠7週目ころから乳歯の芽(歯胚)ができ始めます。
2.妊娠4か月の後半から乳歯が形づくられ、永久歯の芽も妊娠4か月ころにはでき始めます。
3.乳歯は生える準備ができています。お誕生を迎えるころ、永久歯も形づくられ始めます。
丈夫な歯をつくるには、お母さんが健康であることはもちろん、バランスのとれた食生活を通して、お腹の赤ちゃんに栄養を補給することが大切です。
積極的にとりたい栄養
カルシウム
カルシウムは赤ちゃんの骨や歯、血液、神経組織などをつくるうえで大事な栄養素です。豊富に含まれている食品は、乳製品、小魚、豆類や大豆製品、海藻類、緑黄色野菜です。
タンパク質
赤ちゃんの歯の芽をつくるには、タンパク質も欠かせません。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などをバランスよくとりましょう。
リン
歯の石灰化(硬くなころと)のために必要です。米、牛肉、豚肉、卵などに多く含まれています。
ビタミンA・C・D
ビタミンA(豚肉、レバー、ほうれん草、にんじん)は、歯の表面のエナメル質の重要な栄養素になります。 ビタミンC(ほうれん草、みかん、さつまいも)は、その下の象牙質の重要な栄養素になります。 ビタミンD(バター、卵黄、牛乳)は、カルシウムの代謝や歯の石灰化に関係しています。
鉄分
妊娠中は貧血になりやすくなります。貧血が続くとお腹の赤ちゃんの成長に影響しますので、鉄分は妊娠前の3倍以上を目安にとりましょう。小松菜、ほうれん草、ひじき、レバー、赤身肉、カツオ、ブリなどに多く含まれます。
乳幼児② 3歳までに歯みがき習慣をつけましょう
赤ちゃんのむし歯の原因は?
むし歯はむし歯菌(ミュータンス菌)によって起こります。ところが、生まれたときの赤ちゃんのお口には、むし歯菌はいません。むし歯菌の多くは、お母さんのお口から入ってくるということがわかっています。出産前にお母さんのむし歯をゼロにしておくことが大切です。
絶対にやってはいけないこと
フーフーと息をかけて冷ました離乳食を与える。
大人が口に入れたスプーンやフォークを赤ちゃんのお口に入れる。
お口にキスする。
仕上げみがきのコツ
0~2歳のタイミング
下の前歯が生えてきたら、保護者みがきのスタートです。まずはガーゼを指に巻き、ぬるま湯をふくませてから、赤ちゃんの歯をやさしくぬぐいます。
上の前歯が生えてきたら、ハブラシを使ってみがきましょう。とくに上の前歯はむし歯になりやすいので、歯と歯の間、歯と歯肉の境目をていねいに。
3~6歳のタイミング
乳臼歯の生え始めは溝に汚れがたまりやすいので、保護者みがきは念入りに。